2006 Fiscal Year Annual Research Report
退職移行期にある中高年層の社会的アイデンティティ再構築過程に関する研究
Project/Area Number |
18530382
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
平 英美 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (10135501)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 厚子 滋賀県立大学, 人間看護学部, 講師 (10324568)
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Keywords | 定年退職 / 中高年層 / 多元的アイデンティテイ / アクティブ・エイジング / セカンド・モラトリアム |
Research Abstract |
平成18年度は、研究実施計画通り、滋賀県下の企業退職者に対する質問紙調査と聞き取り調査を行った。 質問紙調査は、滋賀県下の大津市、草津市、守山市、彦根市の商工会議所に所属する定年知職制度のある企業の、現役勤労者と退職者を対象に実施した。滋賀銀行、三洋電機、キリンビールなどの大企業をはじめ中小企業を含めて46社の協力を得ることができた。質問紙の配布は平成18年10月〜12月の期間にわたっている。5500配布して3000名から回答があり、50%を超える高い回収率となった。その後データの打ち込みを行っている。退職者については完成したが、勤労者については次年度にまたがることとなった。なお、退職者については、調査した企業のいくつかから結果の問い合わせがあったため、分析の途上ではあるが、単純集計結果のみを簡単な冊子にまとめ送付した。現時点では、分析にまではいたらないが、企業規模別、業種別により退職後の生活に差が生じていると考えられる。 次に、平成18年9月に守山市社会福祉協議会の協力を得て、守山市在住の企業退職者で現在ボランティア活動をされている13名の方に聞き取り調査を実施した。現在、テープ起こしはほぼ終えており次年度に詳細な分析を行う計画である。ただ、データ全体から次のような印象を感じている。ひとつは、インタビューに応じていただいた方々は非常にアクティブな退職生活を送っているように見えるが、退職直後から現在のようなライフスタイルを築くまでにそれなりの葛藤を抱えていたという点である。企業戦士としての自己から新たな自己に変わるまでに青年期のそれと同じような「モラトリアム」と呼べるような特別な時期を経られた方が半数くらいおられる。また、退職期のアイデンティティは会社勤めの頃のような単一な社会的役割が支配的であるというよりも、家庭、趣味、ボランティア、地域等々に多元的に分散している、したがって複数のチャンネルで社会とつながっていることもわかってきた。
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