2006 Fiscal Year Annual Research Report
都市社会学における生活研究の系譜と生活構造の論理構成に関する研究
Project/Area Number |
18530393
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
田代 英美 福岡県立大学, 人間社会学部, 助教授 (80155069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 繁美 福岡県立大学, 人間社会学部, 助手 (80254647)
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Keywords | 都市社会学 / 生活研究 / 大原孫三郎 |
Research Abstract |
1、生成期生活研究の継承と戦後の生活構造論の展開については、第2次世界大戦終結から高度成長期初期までの範囲で考察した。 (1)生成期生活研究を最もよく継承しているのは家計分析の分野である。調査手法や認識の視点等、生成期の成果を土台に、家計固有の構造に関して調査・研究が蓄積され、研究水準は飛躍的に上昇したと言える。 (2)他方、生成期に高野等が先駆的に試みた労働者生活の総合的把握については、ほとんど見るべき展開がなく、高野の思想的背景や社会理論は今日もなお十分に理解されていない。しかし、高野は労働者生活をトータルに把握して社会変動の能動的単位として分析する必要性を強く意識し、そのためのプランを構想している。未完のまま残された高野のプランについて、今日的視点から意味を問う必要があると考える。 (3)この時期に本格的な形成をみた都市社会学では、生成期生活研究とは全く異なる認識枠組で生活構造論が展開された。ここで、個人と社会構造をつなぐ媒介機能が明確に意識されていることが注目される。しかし、それは必ずしも生活をトータルに把握するための理論構成ではなく、地域分析の下位枠組として位置づけられている。これが、生活構造論が現状分析に独自の有効性を持ち得ない原因の一つであると思われる。 2、大原孫三郎、大原總一郎の経営理念について 大原孫三郎の経営理念は、孫三郎が「私の一番の最高傑作」と呼んだ息子總一郎に引き継がれた。「おれは主張のない仕事はしない」が口癖であった孫三郎の主義主張の一端である「人格主義」や「労働理想主義」、社会問題への関心を、總一郎は「資本並に分配の社会化への試案」に見られるように、社会的再分配の構造的システムの変更を提案する等より一層発展させている。
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Research Products
(3 results)