2006 Fiscal Year Annual Research Report
現代青少年の対面的コミュニケーションに関する文化社会学的研究
Project/Area Number |
18530398
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
芳賀 学 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (40222210)
|
Keywords | 青少年 / 祭り / よさこい祭り / 阿波踊り / コミュニケーション |
Research Abstract |
本研究の課題は、現代日本社会における青少年のコミュニケーションの現状を客観的に把握し、従来の言説の真偽を文化社会学的な観点から明かにすることにある。その際、質問紙調査による研究やメディア・コミュニケーションに関する研究に関しては、蓄積があるので、対面的なコミュニケーション空間の中から特徴的なものを選び、フィールドワークを中心に作業を行うことを目指している。本年度は、そうした作業の一環として、現代青少年のコミュニケーション空間の変遷に関する文献資料の収集と、多くの若者が集まり熱狂的な支持を集めるよさこい祭りに関して、阿波踊りとの比較の上で予備的なフィールドワークを実施した。このうち、前者の作業で集めた資料の収集と分析はいまだ中途ではあるものの、これまでに、多くの言説が携帯電話やインターネットなどのメディア・コミュニケーションに注目する一方で、現代日本の青少年が多様な対面的コミュニケーションを展開しており、それが彼らの人間関係やアイデンティティの維持に無視し得ない影響を与えていることが確認されている。残る課題は、こうした現代青少年の対面的コミュニケーションの実態と効果が、これまでの世代と比較してどのように異なっているのかであるが、これについては、二番目のお祭りのフィールドワークから徐々に見通しが付きつつある。よさこい祭りの特徴は、(1)パフォーマンスの枠組みが非常に自由でバリエーションに富んでいること、(2)実施者の集団が地縁共同体を基盤としないお祭り期間だけの組織であること、(3)参加者の意識がホスト(サービスの提供者)よりもゲスト(サービスの消費者)的な色彩が強いことなどであるが、ここには、共同体的な拘束を避けつつも、対面的に集まり、相互作用の中で増幅する高揚感や他者との一体感を通じて、「自分らしさ」を追い求めるという現代青年に適合的な特徴が見出されている。
|