2007 Fiscal Year Annual Research Report
規制緩和・経営合理化(リストラ)による労使関係・勤労意欲の変化
Project/Area Number |
18530410
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
河西 宏祐 Waseda University, 人間科学学術院, 教授 (20015837)
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Keywords | 私鉄産業 / 規制緩和 / 経営合理化 / 労使関係 / 契約社員 / 現場協議制 / 労働組合 |
Research Abstract |
(1)研究課題を遂行するために、私鉄産業A社を対象とし、特に「非正規社員の組識化問題」に焦点を絞って調査研究を行った。 (2)同社では規制緩和にともなう経営合理化のために非正規社員(契約社員)の雇用を進めており、現在では従業員全体の約四分の-に達している。 (3)これに対応して、A社労働組合は、契約社員の組織化に取り組み、さまざまな興味深い成果をあげている。その実態について重点的に調査を行った。 (4)その結果、以下のような諸点が明らかとなった。 (1)同社では、契約社員制度の導入(2003年)と同時に、労使間でユニオンショップ協定を締結している。 (2)毎年の春闘において、A社労働組合は契約社員の賃上げに取り組んでおり、一定の成果をあげている。 (3)労働組合の要求により、3年間勤続した契約社員は、希望者全員が正社員に登用する制度ができた。 (4)2006年秋闘において、労使は「正社員・契約社員の賃金体系を-本化する」ことを協定した。このことは、契約社員制度そのものの廃止につながると予想される。 (5)以上は、全国的にみても最先端の事例であり、このような実態が生まれた労使関係の経過と現状について分析を行った。 (6)現在、A社の労使は、新賃金体系の創設に向けて協議を継続しており、その結果が注目される。今後とも、綿密な調査研究を継続していきたい。
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