2009 Fiscal Year Annual Research Report
ウガンダ・アルバート湖岸地域の漁村における人的ネットワークとコミュニケーション
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18530428
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Research Institution | International Buddhist University |
Principal Investigator |
田原 範子 International Buddhist University, 人文社会学部, 教授 (70310711)
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Keywords | ウガンダ / アルバート湖 / アルル人 / 国際研究者交流 / 漁村コミュニティ / 湖岸管理単位(BMU) / シティズンシップ / コミュニケーション |
Research Abstract |
東アフリカのウガンダ共和国のアルバート湖岸地域で漁労活動に従事する人びとの多くは、西ナイル地域およびコンゴ共和国から移動してきたアルル人である。湖岸地域の生活世界の調査研究のために、平成21年度は、4月~8月の5ヶ月間、湖岸の漁村において参与観察とインタビュー調査を実施した。アルル人が集住するンベグ地区の全戸(120軒)を訪問し、移動時期、移動動機、移動に際しての情報収集手段、移動に際して有益な情報、移動先の知人・親族との関係、魚の行商等などによる日常的な移動の範囲、親族とのコミュニケーション手段、同じ民族集団ネットワークへの参与状況を聞き取ることができた。今年度の成果は以下の4つである。とりわけ(3)のメゾレベルのアプローチの有効性、(4)生活世界の映像記録化は、社会学的研究において重要な意義をもつと考える。 (1)人びとの移動先の選択や漁労活動および経済活動に大きく関与しているのは、親族や同民族集団のあいだで機能しているネットワークであり、人びとは同郷の人たちや親族たちとのコミュニケーションを図るために、ラジオによる近況の通信交流や近隣者から近隣者への口伝え、最近では携帯電話の使用を行っていることが明らかにした。 (2)人びとの移動は、マクロな社会的経済的背景(1950年代の植民地下におけるプランテーション労働、1962~3年代のコンゴ動乱、1985~6年のムセベニ内戦、2002~5年のニョロ人キャンペーン)によって引き起こされていることを明らかにした。 (3)移動民とコミュニティの関係を、生業である漁労活動を管轄する湖岸管理単位(BMU)の組織における問題を通して把握することを試みた。そうした異民族が出会わざるを得ない場-メゾレベルの場-において、暫定的な共同性の萌芽を発見することができた。 (4)これまでの調査期間を通して収集してきた映像資料を編集し、短い映像資料を制作し、2010年2月にウガンダの漁村で上映会を行った。被調査者に対して本調査の成果を説明・提示し、それに対するフィードバックを得ることで、本研究をより相互作用的なものとすることができた。
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Research Products
(5 results)