2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530430
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
宗澤 忠雄 埼玉大学, 教育学部, 助教授 (40219861)
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Keywords | 障害者虐待 / 不適切な行為 / 身体拘束 / 行動の制限 |
Research Abstract |
本年度における研究作業は、成人期障害者の虐待概念の吟味検討とそれにもとづく調査の実施である。 まず、虐待概念については、児童・高齢者・女性等の虐待に関する先行研究領域の成果を踏まえ、さらに障害者領域の問題の特質を加えた規定を明らかにした。それは、虐待を人権問題として総括的に定義した上で、(1)身体的暴行による虐待または不適切な行為、(2)身体的拘束やその他の行動の制限、(3)性的な虐待または不適切な行為、(4)心理的障害を与える虐待または不適切な行為、(5)経済的な虐待または不適切な行為、(6)日常の養育・介護・世話の放棄・拒否・放任・怠慢、の6類型である。このうち(2)については、精神障害のある人にかかわる入院治療上の指針(厚生省告示第130号及び第97号)と障害者自立支援法にもとづく指定障害者支援施設の基準第48条(厚生労働省令第172号)の法的・行政的基準と処遇実態の経験的特質から導いた、独自の概念規定である。また、児童・高齢者のようにライフステージを区切ることのない障害領域においては、生活上のかかわりが長期に及ぶ場合がしばしばあるため、生活と人間関係の文脈上「結果的に虐待と判断される状況」に陥るケースが想定されるため、虐待概念を「虐待または不適切な行為」(=「虐待等」)とし、家庭・職場・医療保健サービス・福祉サービス・実習先等の発生場所別に、このような事実の構造的な発生関連要因を明らかにするための調査を実施した。 調査は、「障害のある人への虐待または不適切な行為に関する実態・意識調査」として、さいたま市内の障害者支援事業者・福祉行政機関を対象に悉皆調査・郵送法により、平成19年1月10日〜30日を調査期間として実施した。調査票は、A票(事業所票)、B票(ケース票)、C票(意識調査票)およびD票(行政機関票)の四票から構成され、回収率は50.2%であった。現在、調査の集計分析作業に取り組んでいるところである。
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