2007 Fiscal Year Annual Research Report
医療・福祉領域における権利擁護組織の役割とネットワークに関する研究
Project/Area Number |
18530433
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高橋 涼子 Kanazawa University, 法学部, 教授 (80262541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞鍋 知子 金沢大学, 法学部, 准教授 (70320025)
石田 道彦 金沢大学, 法学部, 教授 (10295016)
沢登 文治 南山大学, 法学部, 教授 (40247672)
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Keywords | 医療 / 福祉 / 権利擁護 / アドボカシー / NPO / ネットワーク / アメリカ / ウィスコンシン |
Research Abstract |
前年度に引き続き,アメリカ合衆国における医療、福祉の動向と権利擁護に関する資料収集と,ウィスコンシン州でのインタビュー調査を行った。後者に関しては,精神医療施策におけるマネジドケアパイロットプログラムの進捗状況について追跡調査も行った結果,このプログラムが十分な資金を確保することができず中断したことが判明した。この経緯については分析中である。 また,権利擁護組織について以下の知見を得た。 1.障害をもつ人に関する福祉NPOには,サービス提供型の組織だけでなくアドボカシー機能に特化した組織がある。それらの中には,自立生活センターのような当事者組織と,連邦法を根拠として各州が設置,もしくは州内NPOと契約して認定機関とし業務を委託している専門組織がある。前者の活動はself-advocacy,peer-advocacy,後者の活動citizen-advocacy,professional-advocacyとして担い手の違いによる役割分担を行っている。 2.個々の組織が州内で障害ごとに,あるいは障害種別を超えてネットワークを形成し,州の障害者施策をチェックし影響力を行使するべく働きかけを行っている。また自立生活センターも認定権利擁護組織もそれぞれに,連邦レベルでネットワーク化した組織を形成し,連邦の障害者施策をモニターするとともに各州の権利擁護組織の活動に関する情報交流の役割を果たしている。 3.州の認定権利擁護機関の活動は,公的資金によって支えられている部分が大きい。またこうした公的資金を得るため,各組織は報告書の作成とともに活動の重要さや有効性をアピールする様々な努力を行わなければならない。 このようにアドボカシー機能に特化した組織の具体的な形成過程や,当事者の生活上の問題解決から政府の政策形成まで幅広いレベルで果たす役割及びそのためのネットワーク化については,ウィスコンシン州の事例をもとに「福祉領域における権利擁護NPOの形成と役割-アメリカ合衆国の事例から-」(金沢法学50巻1号収載)を執筆した。
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Research Products
(8 results)