2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530463
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
鎮目 真人 同志社女子大学, 現代社会学部, 准教授 (50285508)
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Keywords | 基礎年金 / ベーシック・インカム |
Research Abstract |
1、本年度の研究目的である、OECD諸国のうちで基礎年金制度を有している国について、基礎年金制度のデータベースを作成した。具体的には、1970年から2000年までの期間を対象に基礎年金の普遍性と関連する、給付要件にかかわるいくつかの側面と、給付の水準をもとにデータベースを作成した。このうち、給付要件については、財源の方式(税方式か社会保険方式か)の内容、居住権を基に制度の適用になるか否か(デモグラント型か否か)、個人単位であるか否か、ミーンズテストの有無、インカムテストの有無を取り上げた。また、給付水準は、基礎年金給付額の製造業従事者の平均賃金に対する比(基礎年金/製造業従事者の平均賃金)の指標を取り上げた。 2、基礎年金制度のデータベースに基づいて、基礎年金を類型化した。類型化に際しては、上記の給付水準と給付要件をもとにクラスター分析を行って9つの区分を析出し、その特徴に基づいて基礎年金を4つに類型化した。それは、ベーシック・インカム型年金、準ベーシック・インカム型年金、セーフティネット型年金、保険原理型年金である。 3、貧困予防効果が最も高いと考えられるベーシック・インカム型年金の決定要因を探るためにパネルロジット分析を行った。その結果、女性の政治参加と財政制約がベーシック・インカム型年金の実現に関わることが明らかになった。日本の基礎年金についてみると、その類型は保険原理型であった。2004年の改革でも、日本の基礎年金では保険原理の修正はなされていない。日本の基礎年金のベーシック・インカム型へのレジームシフトの方向性を考えると、しばしば指摘される財源を税方式に変更するといった改革のほかに、保険原理の修正をはかり、保険料の拠出と給付の結びつきを緩くし、ベーシック・インカム型の年金の一つであるオランダ型の年金に改革することも考えられるということを明らかにした。
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Research Products
(2 results)