2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530463
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
鎮目 真人 Ritsumeikan University, 産業社会学部, 准教授 (50285508)
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Keywords | 基礎年金 / 経路依存 / 拒否権プレイヤー |
Research Abstract |
本年は基礎年金改革について以下の3点を明らかにした。それは、第一に、2004年、2009年の年金改革による基礎年金の給付水準の見通し、第二に、現在の年金額改定方式であるマクロ経済スライドが定められた2004年改革が行われた背景、第三に、非経路依存的制度改革の類型論に依拠した、これらの改革の性格、である。2004年、2009年の年金改革によって、基礎年金の給付水準は対生活扶助基準でみて、従来の給付水準を大きく割り込むことが明らかになった。特に、2009年財政検証による給付改定では、2004年改革で実行されたマクロ経済スライドによる機械的給付削減が踏襲され、厚生年金と比しても大幅な給付削減がなされる見込みである。こうした大幅な給付削減が2004年改革で行われたのは、改革の過程において、公明党を中心とする与党と官僚主導の下で、基礎年金制度は制度の持続だけが問題にされ,その給付水準についてはほとんど検討対象にならなかったためであると考えられる。改革の結果、基礎年金の目的は老後の基礎的生活の完全保障から部分保障へと変化することになる可能性が高い。そのため、2004年改革は、制度の目的を老後の基礎的生活に対する中心的保障から補足的保障へと「転換」する性質のものであることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)