2006 Fiscal Year Annual Research Report
家族レジリエンスを促進するソーシャルワーカーと家族の会話プログラムの開発的研究
Project/Area Number |
18530468
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
得津 愼子 関西福祉科学大学, 社会福祉学部, 淮教授 (50309382)
|
Keywords | 家族レジリアンス / 家族危機 / 質的調査 / 家族レジリアンス尺度 / 家族システム |
Research Abstract |
家族レジリエンスとは家族が困難や危機にあっても復元する可塑性であり、家族には家族としてのストレングスや健康な潜在力がもとより備わっており、臨床に当たってはそれらを活性化するアプローチが望ましいと思われる。本研究は、MD&D(芝野、2003)に基づいて家族レジリエンスが促進されるようなソーシャルワーカーと家族やサービス利用者との実践的モデルを開発することを目的としている。 2006年度はその第1フェーズとして、A社会福祉法人における質的研究によって、データ収集とその分析を行なった。内容は(1)A法人の職員へのフォーカスグループインタビュー(FGI)、(2)知的障害者の親への聞き取り調査とその分析、(3)50代中途障害男性家族との聞き取り調査(2003)の系時的な追跡調査を行なった。これらの調査、分析を通して、(1)中年主婦へのFGI(2005)と中途障害男性家族との聞き取り調査(2003)の結果から、主婦(「お母さん」)役割の重要性が浮かび上がってき、「お母さんあってこその家族-家族の危機と回復の聞き取り調査から」(2007)『関西福祉科学大学紀要第10号』(2007)にまとめた。 さらに、家族福祉の重要性についての文献研究を通して、社会福祉における「家族」の位置づけとその求められる機能と役割の変化について考察し、「家族機能の変容と社会福祉」『人口減少時代の社会福祉学』(ミネルヴァ書房より2007.6上梓予定)にまとめた。 また2005年度までに、家族レジリアンス尺度(得津・日下、2000)による量的調査によって「肯定的協働」「統一性」「協働」「安定性」の4因子を抽出していたが、それらを"The Useful Application of The resilience-oriented Family Practice in Japan."(世界ソーシヤルワーカー大会2006、IFSW、ミュンヘン)と"A Study of Depression in the Elderly, Considering the Relationship among the Factors of Family Resiliecne, Health Conditions and Social Role."(国際夫婦・家族療法大会、IFTA、レイキャビク)、「家族レジリエンス尺度(FRI)作成による家族レジリエンス概念の臨床的導入のための検討」『家族心理学20巻2号』で発表した。 現在、一連の質的研究によって、家族レジリアンスは、危機に瀕した家族システムが再組織化する過程を歩むカであり、よりprocess-orientedであることがうかがわれ、その過程を解明のために一層の質的研究を継続して行なう予定である。
|
Research Products
(6 results)