2007 Fiscal Year Annual Research Report
企業との協働による知的障害者の地域での生活保障に関する方法論的研究
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18530474
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Research Institution | Hyogo Women's Junior College |
Principal Investigator |
杣山 貴要江 Hyogo Women's Junior College, 准教授 (40369137)
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Keywords | 割当雇用制度 / 法定雇用率 / 企業の社会的責任 / 保護雇用 / 企業との協働 / 教育機関との連携 / 保育者養成 |
Research Abstract |
前年度のスウェーデン・ストックホルム市及びアメリカ・カリフォルニア州の障害者雇用に関する調査を踏まえ,本年度においては障害者雇用促進法に基づく割当雇用制に関する研究を行った。 調査を実施したスウェーデンとアメリカでは,障害者の割当雇用制度を実施しておらず,それぞれ独自のモデルを形成していた。しかし,わが国における障害者雇用の促進力となっているのはこの制度であり,特に企業イメージを大切にする大企業においては障害者雇用を社会的責任として捉え,法定雇用率の達成に特に都心部では積極的に対応している。つまり、明らかに割当雇用制度は企業の障害者雇用の量的拡大には有用であるといい得る。また,この制度は障害者の権利条約においても最終的にはアファーマテイブ・アクションとして認められ,わが国においては企業の積極的姿勢を後押しすることになっている。しかし,なお未達成企業割合が半数を超え,さらに法改正による中小企業への雇用納付金制度の導入が決まり,企業負担問題は避けられない。企業に対する優遇税制の適用,援助つき雇用の更なる展開と保護雇用制度の導入に対する公的資金の投入,多様な助成金の増強などが障害者雇用の推進を実質的なものにするためには必要である。 わが国は今後条約の批准に向けて,障害のある人を支援しインクルーシブな社会を構築するために,前述の施策に加えて,教育機関における職業訓練のあり再考,そして企業との連携と協働,特に知的障害のある入に関しては,個々の性質を理解した丁寧な関わりのなかから就労支援計画を作成することが求められる。幼少時から知的障害のある人の将来を展望した関わり方ができる専門的知識と技術を身につけた保育者の養成が次の課題として浮上する。
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Research Products
(2 results)