2007 Fiscal Year Annual Research Report
都市における高齢者の心理的・社会的孤立に関する質的研究:支援策への示唆
Project/Area Number |
18530475
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
杉原 陽子 Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology, 東京都老人総合研究所, 主任研究員 (80311405)
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Keywords | 高齢者 / 社会福祉 / 社会学 / 孤独 / 孤立 / 都市 / 質的調査 |
Research Abstract |
都市では高齢単身世帯と高齢夫婦世帯の著しい増加が見込まれているが、家族や地域による支援基盤が脆弱化しているため、心理的・社会的に孤立した高齢者の増加が懸念されている。本研究は、このような高齢者に対する支援策の検討に資するため、心理的・社会的に孤立している高齢者を地域調査により把握し、その高齢者に対して質的調査を行うことによって、孤立高齢者の価値観や態度、ニーズ等を内的に理解することを目的としている。19年度は以下の課題に取り組んだ。 1)心理的・社会的孤立高齢者を把握する調査の実施: 東京都内の一市部に居住する65歳以上の住民の中から、住民基本台帳を基に無作為に5000人を抽出し、郵送調査を実施した(有効回収率82.5%)。「グループ活動への参加が月に1回未満」「別居の子どもや親戚との交流頻度が月に1回未満」「友人・近隣との交流頻度が月に1回未満」のすべてにあてはまる人を「社会的孤立」と定義した結果、入院・入所中の人を除く地域在住の高齢者の11.3%が該当した。要介護度が重いほど社会的孤立の割合は増え、要介護3以上では4割が該当した。男性、後期高齢者、民間賃貸住宅居住者、低所得者で、社会的孤立の割合が高かった。単身世帯と同居家族がいる世帯では、その割合に有意な違いはなかった。一方、「孤立していると感じることがどのくらいあるか」との問に対して、「そう感じていることが多い」は4.2%、「ときどきある」が23.9%であった。要介護度が重いほど孤独感も強く、要介護3以上では6割が孤独感を感じていた。男性、後期高齢者、単身世帯、民間賃貸アパート・都営・市営住宅居住者、低所得者で、孤独感が強い傾向がみられた。 2)質的調査の実施:上記の調査で把握した社会的・心理的孤立の状態にある人のうち、調査への同意が得られた人に対して、インタビュー調査とその内容分析を、現在継続中である。
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