2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530481
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
福島 治 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 助教授 (40289723)
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Keywords | 自己 / 他者 / 社会的認知 / 特性情報 / 特性判断 / 自己認知 / 自己概念 / 対人関係 |
Research Abstract |
本研究の目的は、自己と他者の特性概念間の認知的リンクを明らかにすることであった。人々は異なる他者との問では異なる相互作用を展開する。これを反映して、自己に関する特性概念は、相互に独立的な他者を条件としたサブセットを構成すると仮定した。そして、他者を条件とした自己の特性概念は、他の他者ではなくて、その他者の特性概念の使用によって利用可能性が高まることの検証を試みた。 これまでに、反応時間を指標とした課題促進パラダイムを応用して3つの実験を実施した。実験1では、父を条件とした自己の特性判断は、父に関する特性判断の後で、刺激語の意味判断の後や母に関する特性判断の後よりも速かった。また母を条件とした自己の特性判断は、母に関する特性判断の後で、他の判断の後よりも速かった。実験2では、これらの結果が再現された。またさらに、他者と自己の特性判断の順序を逆転させたときにも同様の促進効果が観察された。つまり、父に関する特性判断は、父を条件とした自己の特性判断の後で、母に関する特性判断は母を条件とした自己の特性判断の後で、最も速かった。実験3では、友人を条件とした自己の特性判断は父や母よりも友人に関する特性判断の後で最も速く、友人に関する特性判断は、父や母よりも友人を条件とした自己の特性判断の後で最も速かった。ただし、実験3では促進効果は初期課題と標的課題の反応が一致した試行に限って得られた。 これら3つの実験の結果は、他者の特性判断がその他者を条件とした自己の特性情報の利用可能性を高め、逆に他者を条件とした自己の特性判断もその他者の特性情報の利用可能性を高めることを示唆しており、自己と他者の特性概念間の認知的リンクに関する仮説に支持的であった。
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