2008 Fiscal Year Annual Research Report
社会的認知における感情と認知的処理方略の相互作用モデルの構成へ向けた実験的研究
Project/Area Number |
18530494
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
北村 英哉 Toyo University, 社会学部, 教授 (70234284)
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Keywords | 感情 / 情報処理方略 / 自己呈示 / 皮膚電気反応 / 心拍 / 自己概念 / 自動的処理 / 統制的処理 |
Research Abstract |
平成20年度には、課題の遂行が感情の変化に与える影響について検討した。課題としては、アルバイト面接状況での自己呈示を取り上げ、対人相互文脈により近い状況での感情変化を取り上げた。実験参加者は、自己概念として持つ性質に一致した、あるいは不一致な自己アピールを行うように要請された。不一致な自己呈示では統制的な情報処理が必要であるが、一致した自己呈示は比較的自動モードで行うことができる。具体的な手続きでは、実験参加募集の段階であらかじめ外向性を尺度によって測定し、外向群と内向群を個人差変数として構成した上で、ランダムに外向的な自己アピールか内向的な自己アピールを要請した。呈示前に1回目の感情測定を行い、呈示後に2回目の感情測定を行った。また、呈示前の安静時と呈示中の心拍と皮膚電気反応を測定した。その結果、内向者においてとりわけ呈示前の不安・緊張の感情報告が高く、自己呈示後には低く変化した。心拍、皮膚電気反応は、自己呈示中の方が高く、内向者において高いことが見出された。統制的なうまくいきにくい課題遂行を行っている場合、かつ、その自信がない場合にネガティブ気分が増強され、さらにより統制的な処理が促されることが示された。これによって、課題遂行の状態のチェックとして感情反応が役割を果たしていることが窺え、感情と情報処理方略の相互作用を示したモデルを感情心理学研究に投稿して掲載され、感情と認知の相互作用についての知見を加える貢献を行うことができた。また、本年度には、一昨年度に行った研究をベルリンで開催された国際心理学会議において発表を行った。
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Research Products
(2 results)