2006 Fiscal Year Annual Research Report
共有財保全をめぐる異種業者間の合意形成:沖縄本島での調査研究と合意訓練ゲーム開発
Project/Area Number |
18530498
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
野波 寛 関西学院大学, 社会学部, 助教授 (50273206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 潤三 大阪国際大学, 人間科学部, 講師 (30388649)
中谷内 一也 帝塚山大学, 心理福祉学部, 教授 (50212105)
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Keywords | コモンズ / 赤土流出 / 沖縄 / 信頼形成 / 正当性 / 危機認知 / 合意形成 |
Research Abstract |
上記の研究課題について平成18年度は沖縄本島北部を中心に、コモンズ問題としての赤土流出問題にかかわる行政・農業・漁業など各方面関係者にインタビュー調査をおこなった。これをもとに国頭郡宜野座村(人口およそ5,500名)を選出し、ランダムサンプリングによって合計およそ650名を抽出した上で、赤土流出問題に関するアンケート調査を実施した。この調査の目的は、赤土流出の原因となる農業従事者(農地)、被害者となる漁業従事者(漁協)、マジョリティとして問題解決のキャスティングボードを握るその他一般従事者(一般住民)という3つのステークホルダーに調査対象者を分類し、赤土問題の危機認知・責任帰属・相互の信頼形成・問題にかかわる正当性などの概念を測定して、3者間での差異・共通性を明らかにすることであった。 調査の結果、上記の対象者より306名分の有効データを回収した。加害・被害の両面でこの問題に直接的なかかわりの低い一般従事者では、農業・漁業従事者に比較して赤土問題の危機認知が低かった。赤土問題のリスク管理を担う行政への信頼については、特に漁業従事者からの信頼が低く、彼らの信頼の低下は行政との価値観の共有性を低く評価していることから発生していた。一般従事者による行政への信頼は高く、その信頼は行政の有能さに対する期待より発生していた。赤土問題にかかわる主体としての正当性は3者とも相互に高く評価されていたが、同じ地域の住民同士だからこの問題へ積極的にかかわるのが当然という地域性、赤土流出を防ぐ専門的な知識・技術を持っているからかかわるのが当然という専門性、被害・加害など問題の当事者だからかかわるのが当然という当事者性など3つの側面から見た正当性は、農業・漁業・一般従事者および行政という4つのステークホルダーで、それぞれ異なった相関が示された。以上の結果をもとに、平成19年度にはコモンズ問題をめぐる合意訓練ゲームの開発・実施を目指す。
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Research Products
(3 results)