Research Abstract |
今日,乳幼児向けの英語教室が人気を集めている中で,年少の子どもにおける英語経験の効果を評価することは,社会的に重要である。本研究は,日本語を母語とする幼児にどのような英語の初期経験を与えると,その幼児の将来の英語の学習能力が高まるのかを明らかにすることを目的としている。本年度は,昨年度に続いて,日本人幼児向けに作成した英語音韻の訓練プログラムを継続的に実施し,訓練プログラムが幼児の英語音声の知覚・処理にどのような影響を及ぼしたのかを検討した。訓練プログラムは,英語の音声を構成する39音を,文字,絵,動作と関連づけながら,学習する活動や,学習した音声を単語の中から見いだしたり,音声を組み合わせて単語を読み上げたりする活動を含んでいた。訓練プログラム後のテストとして,音韻意識課題(音声提示された英単語の冒頭の音素を選択する)を行ったところ,CVC構造の単語に関する子どもの得点が,訓練プログラムを受けていない同年齢の子どものそれよりも有意に高かった。訓練プログラムを通して,以下のことが明らかになった。 1、5〜6歳児は,英語の音探しや音の混ぜ合わせといった活動の中で,自然と,英語の音韻の中の音素を意識し,それを文字・絵・動作と関連づけることができる。 2、英語の音に親しむ活動を通して,5〜6歳児は,英語の音素レベルでの音韻意識を高めることができる。 3、幼児期に,英語の音韻と文字の関係を意識し,その基本的な関係を学ぶことが,小学校での英語学習へつなげていくことができる。
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