2006 Fiscal Year Annual Research Report
中年期のアイデンティティ危機様態の発達臨床的理解と援助に関する研究
Project/Area Number |
18530518
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡本 祐子 広島大学, 大学院教育学研究科, 教授 (90213991)
|
Keywords | アイデンティティ / 中年期危機 / 発達的理解 / 臨床的援助 |
Research Abstract |
<研究1> 研究代表者の行った中年期のクライエントに対するカウンセリングの9事例の心理面接過程を、1.中年期危機の現れ方の特質、2.心理的葛藤の根の深さと心理療法過程の関連性、の視点から分析した。(1)中年期危機の特質としては、自分自身の老化や更年期障害による「若くてタフな自分」の喪失、子どもの自立や親離れによる「親としての自分」の喪失、支えであった親の老化や死、理想化していた他者の喪失など、中年期特有の喪失体験が見られた。また、幼児期・児童期・青年期の未解決の心理社会的課題や、世代性における躓きが中年期危機を引き起こしている事例も見られた。(2)問題や未解決の葛藤の根が、1.成人初期以降(Aレベル),2.思春期・青年期(Bレベル),3.乳幼児期(Cレベル)のいずれにあるかによって、中年期危機の現れ方や、心理面接の深さや展開はかなり異なることが示唆された。 <研究2> 中年前期の母親を対象に、「個としてのアイデンティティ」と「母親アイデンティティ」の葛藤・バランス・統合の様態と、育児に関する心理臨床的問題の現れ方を分析した。対象者は、2つのアイデンティティの確立の程度によって4タイプに分類された。2つのアイデンティティの確立のあり方によって、母親役割を受け入れる段階で葛藤している母親、葛藤を回避している母親、葛藤が生じていない母親、葛藤を経て統合させている母親という、葛藤経験の特徴が見出された。また、2つのアイデンティティの位置づけと葛藤のあり方が、育児困難の内容や程度と関連していることが示唆された。
|
Research Products
(2 results)