2008 Fiscal Year Annual Research Report
中年期のアイデンティティ危機様態の発達臨床的理解と援助に関する研究
Project/Area Number |
18530518
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡本 祐子 Hiroshima University, 大学院・教育学研究科, 教授 (90213991)
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Keywords | アイデンティティ / 中年期危機 / 発達的理解 / 三世代の家族危機 |
Research Abstract |
<研究1>3世代にわたる家族の視点から見た中年期危機の発達的理解と心理臨床的援助 研究代表者の行った中年期のクライエントに対するカウンセリング事例を、その来談の主訴から、(1)中年期の親と青年期の子ども,(2)夫婦関係を中心とした中年世代の家族危機,(3)中年期の子どもと老年期の親の問題に分類し、その心理力動と心理臨床的援助について考察した。中年期危機によって、人生前半期の未解決の家族葛藤が顕在化すること、未解決の葛藤の根が、乳幼堤期、青年期、成人初期以降のいずれにあるかによって、問題の理解、心理面接の深さや面接の展開過程は異なることが示唆された。また中年期のアイデンティティの再構築は、主体的に納得できる自分を獲得すると同時に、自分にとって重要な他者(多くは家族)との適切な心理的距離がとれることによって達成されることが示された。 <研究2>中年期の時間的展望とメンタルヘルスの関連 中年期の峠を越えることによって変容する時間的展望の質的特徴を分析した。40歳代では現在の充実感、50歳代では過去の受容と現在の充実感、60歳代では現在の充実感と未来への希望がメンタルヘルスに関連することが示された。それらの様相を、半構造化面接によって質的に分析した結果、中年期の身体的心理的変化の気づきや受容にともなって、40歳代では過去を土台にして自己をとらえ、50歳代では未来を志向する中で過去のできごとに対する必然感が生じること、60歳代では、自ら生成した自己を受容し、それを表現する揚としての未来を志向していることが示唆された。
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Research Products
(5 results)