Research Abstract |
本年度は,本研究プロジェクトの中核となる慢性疼痛患者のためのマインドフルネスに基づく集団認知行動プログラムを作成し,その効果を検討する介入実験を行った。12名の外来慢性疼痛患者に対して,1週間に1回,計6回からなる介入を行った。介入前1ヶ月間を統制期間とした被験者内1要因計画で行った。特性指標として,マインドフルネスに関する指標,反すう,主観的痛みの程度,認知的統制の程度,思考抑制の程度などを測定した。プログラムの内容は,食べる瞑想,坐る瞑想,呼吸瞑想,ボディスキャン,慈悲瞑想からなり,認知理論に基づく心理教育が行われた。現在,フォローアップ期間のデータ収集の最中であり,6ヶ月フォローアップを終えた段階で分析を行う予定である。 このほか,中学生を対象に,マインドフルネスを取り入れたエンカウンター授業を行い,その効果を検討する研究を行った。中学1年生2クラスの生徒を対象に50分の授業を行った。よくグループエンカウンターでも用いられる「トラストウォーク」という課題を軸に,マインドフルな効果を発揮する「導き方」に注目して介入を行った。具体的には,メタ認知的洞察を導くために(1)言語的評価をしない,(2)笑いを増やす,(3)驚きを増やすなどの要素を取り入れた授業を行った。その結果,ネガティブ気分の改善,マインドフルな認知(他者への思いやりを示す認知)の増加が示された。 発表活動としては,慢性疼痛に対するマインドフルネストレーニングに関わる知識をまとめた展望論文を執筆した。さらに,学会発表として国際学会発表を1本,国内発表を2本行った。
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