2008 Fiscal Year Annual Research Report
慢性疾患を持つ子どもの「語り」にみるsense of coherence
Project/Area Number |
18530541
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
堀毛 裕子 Tohoku Gakuin University, 教養学部, 教授 (90209297)
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Keywords | sense of coherence / sense of coherence尺度 / 健康心理学 / 病気の語り / 慢性疾患 / 子ども |
Research Abstract |
本研究は、Antonovskyの提唱する健康生成論とその中核となるsense of coherenceの概念に着目し、慢性疾患を持つ子どもたちがどのように病気を体験し乗り越えようとするかについて、語りについての質的検討とsense of coherenceの量的分析という二つの側面からのアプローチを試みたものである。 子ども用のsense of coherence尺度は日本語で使用できるものがないため、Dr.Margalitの作成した英語版の児童用・思春期用尺度をもとに日本語版を作成した。尺度作成の最終的な段階である信頼性・妥当性等の統計的確認については、今年度に小中学生約600名を対象として実施した調査データを分析中であり、その成果は2009年度の学会で発表予定である。 研究の基本的な枠組みとなるsense of coherenceの概念そのものの有効性については、前年度に実施した一般成人や乳がん患者など合計約700名を対象とする調査データを多角的に分析・検討し、その成果を国際学会を含む3つの学会で報告した。また、Antonovskyの健康生成論やsense of coherenceに関して活発な研究を行っている、フィンランドやイスラエルのメンバーを中心とする研究グループに参加する機会を得て、この概念の健康心理学における有効性について理解と考察を深めることができた。 子ども用尺度の開発に当初の見通し以上の時間を要したため、疾患を持つ子どもを対象とする調査はまだ実施途上であり、最終的な研究成果をまとめるまでには、今後まだしばらくの時間を要するものと思われる。
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