2009 Fiscal Year Annual Research Report
がん患者と家族の心理的ストレスとその心理社会的リスク要因に関する臨床心理学的研究
Project/Area Number |
18530543
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
岩満 優美 Kitasato University, 医療系研究科, 准教授 (00303769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蔵並 勝 北里大学, 医学部, 講師 (80170075)
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Keywords | 心理的ストレス / がん / QOL / 特性不安 / 感情抑制 / ストレスライフイベント / 気分 / 確定診断 |
Research Abstract |
本研究では、がん患者の心理的ストレスとその心理社会的リスク要因について検討することを目的に、以下の研究を実施しまとめた。 第1に、初診時、確定診断後、手術、治療といった一連の経過のなかで、がん患者とその家族の心理的ストレスについて調べ、特に、がん患者の心理的ストレスに対するリスク因子(感情抑制、特性不安、個人属性)の同定を行った。 その結果、がん確定診断前後の患者の心理的ストレスを予測する要因は、感情抑制、特性不安、ライフストレスを否定的にとらえる傾向であった。特に、特性不安と心理的ストレスとの関係性は密接であった(Supportcare cancer)。 第2に、面接調査より、がん患者の感情反応について質的に検討し、それぞれの経過のなかで0どのような感情反応を抱くか、特性不安や感情抑制の観点から検討した。その結果、がん確定診断前後の患者の不安や抑うつといった感情表出は、特性不安の高い患者において顕著に認められた(JPN. Bull. Soc. Psychiat., Palliative and Supportive Careにて掲載)。 第3に、化学療法の副作用による認知機能について健常群と比較検討した。その結果、現在のところ、化学療法の副作用による認知機能の低下は認められず、気分状態による認知機能の低下が示唆された。今後もこの点については検討していく必要がある(学会で発表)。 最後に、がん医療に携わる心理士の実態調査や心理士の役割について調べた。その結果、心理士はその専門性をいかして、患者や家族の心理状態や葛藤を把握し、心理的援助をすることが求められていた(Journal of Pain and Symptom Management、日本緩和医療学会誌、緩和ケアにて掲載)。
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Research Products
(13 results)