2006 Fiscal Year Annual Research Report
片口法ロールシャッハ・テストにおける陰影反応基礎データの作成
Project/Area Number |
18530545
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
大貫 敬一 東京経済大学, 経済学部, 教授 (40146527)
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Keywords | ロールシャッハ・テスト / 片口法 / 陰影反応 |
Research Abstract |
Hermann Rorschachは陰影反応の持っ意義に気づいていたが、それらの反応を十分検討し、スコアの中に含めるまでには至らなかった。Kloperら(1954)やBeckら(1961)など、彼に続く研究者たちは、それぞれが陰影反応を体系づけたが、それらのカテゴリーは相互に一致しないものとなった。現在では、Exner(1986)がBeckを引きついだ陰影反応カテゴリーを作成している。一方、日本では片口(1956)が、Kloperら(1954)のカテゴリーを修正して比較的簡便な陰影反応カテゴリーを作成した。しかし、その簡便さ故にテスターによってスコアが一致していないとも言われている。カテゴリーの不完全さは解釈という点で曖昧さを生じさせ、他の研究との比較が難しくなるという問題を持っている。 以上のような問題から、研究の第I段階として、片口法の陰影反応カテゴリーの再定義を行い、次に、その分類カテゴリーに基づいて、日本人基準データの材質反応を中心とした陰影反応の出現率や分布などの記述統計を作成することを目標に研究をおこなった。具体的な手続きとしては、現在までに収集された非患者成人データ(基準データとしてN=300、データプールとして約450)のロールシャッハ反応からC'、c、FK、K、さらにComprehensive systemのFDやYに相当する陰影反応を選び出し、反応段階だけでなく、質疑段階のコミュニケーションにおいて陰影の使用をどのように言語化して説明しているかを検討した。その結果、陰影反応の中でも、FC'のような無彩色反応の反応過程はどの被験者においても比較的明確であるのに対し、Fc近縁の反応はその過程に知覚・認知・体験・言語表現等に関してさまざまな要素や形態水準が含まれていることが明らかになり、陰影反応の質的分類が不可欠であることが確認された。
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