2008 Fiscal Year Annual Research Report
長期入院の統合失調症患者における改善・増悪指標の臨床心理学的検討
Project/Area Number |
18530546
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
横田 正夫 Nihon University, 文理学部, 教授 (20240195)
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Keywords | 統合失調症 / 長期入院 / 増悪指標 / 改善指標 |
Research Abstract |
長期入院の統合失調症患者の改善指標と増悪指標を調べるために、描画、記銘力検査、一般健康度調査(GHQ)を使用して、患者の10年の経過を検討した。研究参加者は精神病院に入院し、10年以上経過した時点で検査が可能であった35名であった。33名は統合失調症愚者であった。2名は罪統合失調症患者である。 統合失調症慰者と非統合失調症患者で描画特徴を比較してみると、当初は活動性、写実性、整合性のいずれの得点も有意な差を示さないが、10年後になると、非統合失調症愚者の描画では、統合失調症患者に比べ活動性が増加し、整合性が低下した。 描画特徴と記憶テストの結果との関連を調べるたところ、活動性は身近な物品の即時記憶が維持されることと関連し、写実性と整合性は、逆唱や計算といった課題が示唆すように、注意の集中を要する課題における機能の保持に関連していた。描画特徴と日本版GHQ30の下位カテゴリーの関係を調べるたところ、描画の活動性が高まることは不安の高まりや気分変調の高さに関連した。さらに写実性は身体症状の低さとも関連の傾向を示し、その一方で睡眠障害の高まりと関連していた。 症例について、病状との関連を調べてみた。その結果、入院当初においてまとまりのある描画を示すが、途中描画要素が断片化する。描画に断片化がみられても、それは経過中に現れる特徴であった。改善指標としては、その断片化が空間構成のあるものへ変化するものが考えられ、増悪指標としては、断片化がみられ一時的に改善し空間構成が認められても、その空間構成が貧困化するものと考えられた。
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Research Products
(5 results)