2006 Fiscal Year Annual Research Report
臨床心理士の職業的発達ならびに教育訓練の効果に関する研究
Project/Area Number |
18530548
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
金沢 吉展 明治学院大学, 心理学部, 教授 (10152779)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩壁 茂 お茶の水女子大学, 人間文化研究科, 助教授 (10326522)
下山 晴彦 東京大学, 教育学研究科, 教授 (60167450)
新保 幸洋 東邦大学, 理学部, 助教授 (10226350)
|
Keywords | 職業的発達 / 臨床心理士 / インタビュー調査 / 臨床心理学 |
Research Abstract |
日本の臨床心理士の業務内容については、臨床心理査定・臨床心理面接・臨床心理的地域援助・研究調査という4つの業務が示されているものの、臨床心理士養成に関する具体的な教育訓練の方法について、系統的な研究は行われていない。日本では、1960年代後半から1970年代にかけての大学紛争等に起因する臨床心理学分野内の混乱から、臨床心理学とは異なる心理臨床学を掲げる立場が生まれ、臨床心理学に関する考え方自体についても、分野内において多様な見解が存在する状況となっている。 そのような状況において、臨床心理士養成のための指定大学院は現在140校を超えており、質の高い臨床心理士を養成するためにも、大学院における教育訓練の方法や効果、さらには、大学院修了後の生涯にわたる臨床心理士の学習課題や発達的変化、職場の異動や臨床経験を積むことによる変化等を明らかにすることは、理論的学派の違いを超えた社会的責任として、分野全体が取り組む課題である。しかしながら、こうした課題について系統的に検討する研究はこれまで行われていない。 臨床心理士の職業的発達に関するインタビュー調査から得られた暫定的な結果からは、大学院修了後3年以内の臨床心理士の場合、自身の教育訓練に関わる問題を提示することは容易ではあるものの、他の訓練生が経験する問題について述べることは困難であった。一方、教員を対象としたインタビューは、訓練生にとってどのような教育経験が有効であり、どのような体験を困難と感じるのか、比較的容易に示すことができた。訓練生と教員との問には、教育訓練をめぐつて、異なる視点が存在する可能性が示唆される。 今後、インタビュー調査を進めながら、結果の詳細な分析を進めていく必要がある。
|