2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530556
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩崎 祥一 東北大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (90117656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 裕一 東北大学, 大学院情報科学研究科, 講師 (80312635)
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Keywords | 注意 / 執行機能 / 作業記憶 / 個人差 |
Research Abstract |
平成18年度は、予備的な検討として、作業記憶及び性格特性で実験参加者を群分けし、それぞれの群について、空間的注意機能、二重課題時の成績低下、ストループ干渉量の違いなどを比較した。その結果、作業記憶の個人差によりStroop干渉抑制の程度(これは、ストループ条件から非ストループ条件に変化した後で、反応時間がベースラインの反応時間からどれ位遅延したかで調べた)に作業記憶による個人差が見られた。具体的には、作業記憶容量の大きな群では容量の小さな群に比べ、より反応時間の遅延が大きくなり、干渉抑制をより強く働かせていることが想定された。また、外向性や神経症傾向が注意の切り替え課題でのStroop干渉抑制に影響することも判明した。具体的には、外交的で神経症傾向の低い実験参加者では、その逆の内向的で神経症傾向の高い実験参加者に比べ、数字を英語で読む課題に続いて行われたStroop課題での抑制がより小さかった。これは、英語で数字を読むという行為は、数字は英語・日本語での共通の表現(アラビア数字)であるため、より習熟した日本語での反応が自動的に生じてしまい、それを抑制しつつ英語で読む必要がある。この抑制傾向が、引き続き行われたSTROOP課題での干渉量を減らす作用を及ぼしたものと考えられた。 以上のように、作業記憶容量及び性格特性の個人差が、注意課題に影響することが確認された。その影響は、1つは作業記憶で重要な機能だとされる抑制を媒介としていることが伺えた。さらに、現在、作業記憶と手がかり提示による空間的注意制御及び音声に対する応答と視覚検出課題を組み合わせた二重課題での成績低下が生ずることを確認する予備実験を行っているところである。与簿実験としては、検出課題をbottom-upの注意制御をなるべく無くした条件とbottom-upの注意制御が可能な条件(onset及びsingletonによる注意の捕捉が生ずる条件)の2条件を設定し、注意を向ける主課題と組み合わせて実験を行うことにしている。作業記憶容量の個人差により被験者を分類し、それぞれの群でbottom-upの注意制御がより強い条件と弱い条件とで二重課題時の単独課題に対する成績低下のあり方が異なっているかどうかを次年度の課題としている。
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