2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530558
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
豊田 弘司 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (90217571)
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Keywords | 時間的情報 / 情動的情報 / 精緻化 / 偶発記憶 / 意味情報 |
Research Abstract |
本年度は、時間的情報及び情動的情報を処理させることの効果を検討した。時間的情報の効果に関しては、記銘語を2回呈示し、それぞれの呈示時に連想する時間的区分(過去、未来)のいずれかを選択させる方向づけ課題を行い、その後、偶発自由再生テストを実施した。 実験1では、過去の選択した場合の方が、分散効果(記銘語を他の語を介在させて反復呈示する分散呈示が、介在させない集中呈示よりも記憶成績が良いという現象)が大きく、過去の情報量の多さが、符号化変動性を高めたものと考えられた。 実験2では記銘語を快語と不快語にわけて分析したが、快語と不快語の違いは明らかではなかった。 実験3では、快語のみを記銘語として検討した結果、過去を選択した場合が、未来を選択した場合よりも再生率が高く、過去の情報量が多いことにより記銘語の検索手がかりとして貢献したと考えられた。 実験4では不快語について検討し、実験3と同じ結果が得られたが、実験3と4を併せた分析では快語と不快語の違いが示された。 情動的情報の効果に関しては、実験5において記銘語に情動情報を対呈示する条件と、意味情報を対呈示する条件を比較した。 その結果、記銘語に適合する情動が対呈示された場合に、意味を対呈示される場合よりも再生率の高いことが示され、情動が検索手がかりとして有効であることを示唆した。 実験6では、記銘語から連想される情動(気持ち)を生成させる条件(情動的精緻化)と、記銘語の示す対象の性質を生成させる条件(意味的精緻化)との比較を行った。 その結果、検索の初期の段階では意味的精緻化が優位であったが、検索の中期になると情動的精緻化が優位になることが明らかになった。意味的精緻化による意味的情報は検索手がかりとして有効であるが、その有効性が低下する段階や条件において情動的精緻化による情動的情報が優位になることが明らかにされた。
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