2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530562
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
遠藤 光男 琉球大学, 法文学部, 教授 (90185166)
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Keywords | 顔認識過程 / 熟達 / 基礎レベル / エントリーポイント / 顔検出過程 |
Research Abstract |
物体を認識する際に最初にアクセスされる記憶表象のレベルをエントリーポイントという。通常、エントリーポイントは基礎レベルであるが、顔などその認識に熟達している場合は、下位レベルもエントリーポイントとしての機能を持つようになることが示されている。しかしながら、これまでの研究では、熟達することによって複数のエントリーポイントを持つようになるのか、エントリーポイントが基礎レベルから下位レベルに移行するのかという点については明らかになっていない。本年度はこの点について明らかにするための実験的研究を行った。 実験では、有名人の顔、トリ、イヌの写真を提示する条件と、それらの名前を文字で提示する条件を設け、それぞれについて基礎レベル、又は、下位レベルで呼称する課題を被験者に課した。顔を顔として認識(基礎レベル)する過程がエントリーポイントとしての機能を失っている場合、この過程は個体識別(下位レベル)から意味ネットワークを介して行われると考えられる。その場合、顔写真からの基礎レベルの認識に要する時間と人名からの基礎レベルの認識に正の相関があることが予測された。実験の結果、有名人を含むすべての刺激で写真と文字からの基礎レベルの認識に正の相関は認められなかった。したがって、今回の実験では、顔認識過程のエントリーポイントが基礎レベルから下位レベルへ移行しているという証拠は見いだせなかった。今後は、この課題による検討の妥当性と、他の課題での顔認識過程のエントリーポイントの検討を行う計画である。
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