2008 Fiscal Year Annual Research Report
声質の認知に及ぼす母語・非母語情報の影響-音声マスキングを用いた検討-
Project/Area Number |
18530568
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
重野 純 Aoyama Gakuin University, 文学部, 教授 (20162589)
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Keywords | 声質の認知 / 声の特徴 / 母語 / 非母語 / 音声マスキング |
Research Abstract |
本研究の目的は、声の特徴を認知・記憶するメカニズムを解明することである。今年度は昨年度に行った2つの認知実験(実験1,2)のデータを追加収集し、また刺激に用いた音声の音声分析を行った。実験1では、日本語母語話者が日本語を話す場合について、話者の話す速さ(話速)という提示条件の違いにより声質の認知はどのような影響を受けるのかについて検討した。その結果、話速により声質の認知は影響を受け、特に話速が遅い場合にその影響が大きいことが分かった。実験2では、音声を時間軸上で逆向きに再生して提示した場合について検討した。その結果、逆向きに提示すると、日本人話者を日本語非母語話者(すなわち「外国人話者」)に同定しやすくなり、いくつかの評定項目において、順向提示の場合との間に有意な差異が認められた。さらに、2006年度に行った日本語母語話者が英語を話した場合のデータと比較すると、英語を話した場合には「自信がない」と判断しやすかったのに対して、聞き手も知らない外国語(実際は逆向き提示なので外国語ではないが外国語のように聞こえる)の場合には、このような判断傾向は得られない、などの結果が得られた。なお、音声分析については現在も分析中である。本年度の研究成果より、声質(個人性情報)の認知に言語(母語/非母語)の韻律情報や文脈条件が大きな影響を及ぼしていることが示唆された。
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Research Products
(7 results)