2007 Fiscal Year Annual Research Report
文字の形態・音韻・意味的符号化過程の国際比較とモデルの構築
Project/Area Number |
18530574
|
Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
水野 りか Chubu University, 人文学部, 教授 (00239253)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 孝雄 中部大学, 人文学部, 准教授 (00267709)
|
Keywords | 日本語母語者 / 英語母語者 / 表音文字 / 文字マッチング実験 / 形態的符号化 / 音韻的符号化 / 注意切り替えの困難度 / 注意の瞬き |
Research Abstract |
本年度は1.日英母語者の表音文字の形態・音韻的符号化過程の違いを明らかにし,2.その文字マッチング実験で反応時間(以下RT)がISIとともに短縮した原因を調べた。 1.漢字は多音字で多くの同音異義語があるため日本語母語者の漢字処理での形態コードへの依存度は高い(井上,1980)。水野・松井・Bellezza(2007)はこの処理特性が表音文字にも及んでいるのではないかと考え,表音文字のマッチング実験と音韻コード利用を抑制する変則マッチング実験を両母語者に実施した。そして日本語母語者の形態的一致のRTだけが著しく短く,音韻コードを抑制すると形態的一致のRTが英語母語者の場合だけ変化することを見出し,日本語母語者は形態コードへの,英語母語者は音韻コードへの依存度が高いことを検証した。さらにMizuno,Matsui,Harman,&Bellezza(2008)は第1文字の呈示時間を操作した文字マッチング実験で,英語母語者の形態・音韻的符号化,日本語母語者の音韻的符号化は100msから300msの間に終了するが,日本語母語者の形態的符号化は100ms以内と迅速に終了することを見出した。 2.上の研究ではISIに伴いRTが短縮し,その原因がISIが短い時の注意切り替えの困難度にあることが示唆された。そこで我々はこの影響を排除するにはISIをブロック間配置にすべきか(松井・水野,2007:認知心理学会),反復によって短いISIに習熟させるべきか(松井・水野,2007:心理学会)を検討し,前者の有効性を確認した。さらに水野・松井(2007:認知心理学会)はISIが短い時の処理不全という点でRTの短縮と注意の瞬きが類似していることに着目し,RTと報告率に負の相関があることを示し,両者の密接な関係を立証した。水野・松井(2007:心理学会)は次年度の注意の瞬き実験の準備である。
|
Research Products
(6 results)