2008 Fiscal Year Annual Research Report
文字の形態・音韻・意味的符号化過程の国際比較とモデルの構築
Project/Area Number |
18530574
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
水野 りか Chubu University, 人文学部, 教授 (00239253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 孝雄 中部大学, 人文学部, 教授 (00267709)
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Keywords | 日本語母語者 / 英語母語者 / 中国語母語者 / 形態的符号化 / 音韻的符号化 / 形態的符号化 / 注意切り替えの困難度 / 注意の瞬き |
Research Abstract |
平成20年度は以下の3つの観点から研究を行った。 1.昨年度までの研究で表音文字の符号化過程に母語文字特性が影響することが明らかとなった。この知見に従えば,日本語母語者と同様表意文字(漢字)を用いるが,ほとんどが単音字で同音異義語が皆無に近い中国語母語者は,音韻コードへの依存度が日本語母語者よりも高いが英語母語者ほどではない可能性が高いと考えた。実験結果は予想通りで,表音文字の符号化過程への母語文字特性の影響が明確となった(水野・松井:人文学部紀要,松井・水野:認知科学会・東海心理学会)。 2.日本語の漢字表記語の形態・音韻・意味的符号化過程を,同音類義語,同音異義語等を刺激として刺激呈示時間を操作した文字マッチング実験で検討した。その結果,(1)各符号化に異なると判断する段階と同じと判断する段階の2段階を想定すべきで,(2)各符号化は基本的には形態,音韻,意味と進行するが,進行するか否かは他の符号化で得られた情報の満足度に依存するという密接な相互関係を有し,(3)その密接な相互関係が十分な情報が得られたらそれ以上の処理は行わないという人間の合理的・経済的な情報処理を可能にしていることが明らかとなった(水野:東海心理学会;水野:人文学部紀要)。 3.昨年度までの研究で,SOAが短いほどマッチングRTが長く,その原因が注意切り替えの困難度にあることが見出された。本年度は(1)その影響を排除するには一般的なブロック内配置ではなくブロック間配置を使用すべきことを明らかにし(松井・水野:認知心理学会),(2)SOAが短い時の処理不全という点で類似している注意の瞬き現象にも注意切り替えの困難度が影響していることを様々な角度から確認した(水野・松井:東海心理学研究・認知心理学会・認知科学会・日本心理学会;松井・水野:日本心理学会)。
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Research Products
(12 results)