Research Abstract |
H19年度年度は,H18年度に揃えた物品等を使って実験を以下のような実験をたくさん行った。また,5月の第5回認知心理学会に参加し,情報収集や交換を行い,研究計画を最終チェックした。 H19年度は,複合文脈,BGM文脈,背景色文脈についての実験を行った。実験は,研究代表者と分担者とで分担した。実施にあたっては,それぞれの研究機関で,実験補助者をアルバイターとして雇用した。 複合文脈:IPI=10分,RI=1日間で,複合文脈変化の効果を調べた。その結果,同文脈反復と異文脈反復との間に有意差はなかった.この結果には,比の法則が関与していることが推測される. BGM文脈:BGMとして使用する楽曲の熟知価が,BGM文脈依存効果に影響するか否かを調べた。これは平成18年度行った実験の被験者をさらに追加したものである.その結果,楽曲の熟知感にかかわらず,同程度のBGM文脈効果は生じたが,沈・漁田(2006)で見いだされた熟知感の効果は,今回は検出されなかった. 背景色文脈:他の環境的文脈が偶発的文脈として機能するのに対して,背景色は局所的文脈として機能するとされている。これまでの実験で,1背景色につき1項目で継時提示する場合,(1)5項目以上が同じ背景色で提示されると,文脈依存効果が消失すること,等(Isarida & Isadda,2007)が見いだされた.H18年度には,3項目あるいは6項目を1背景色のもとで同時提示した場合に,(2)いずれの条件でも,背景色文脈依存効果は生じないこと,(3)背景色による群化は明確に生じないが,同時提示された項目相互の群化がより顕著であること,等が見いだされた.そこで,今年度は複数の項目を同時提示したとき,背景色変化が文脈効果に与える影響を調べた.その結果,1画面に3項目を提示すると,背景色が変化するだけで文脈効果が生じることを見いだした. 以上の実験結果は,さらに追試や条件分析を重ね,確定していく必要がある.
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