Research Abstract |
(1) 本研究の目的 さまざまな種類の環境的文脈(environ, nentalcontext)のエピソード記憶におよぼす機能を, 実験を通して調べ, 実証的データにもとづいた環境的文脈機能の分類整理を行うことである。このため, さまざまな環境的文脈がどのような機能を持つのかを実験によって同定し, それぞれの環境文脈機能を実証的に整理分類する。環境的文脈としては, これまでの研究例が多い4種類((1)場所, (2)BGM, (3)背景色, (4)匂い)を取りあげる。 (2) 本研究の予想される結果と意義 (1) 場所文脈と複合文脈の機能は異なると予測される。事実, 反復時の文脈多様性の効果が, 複合文脈と場所文脈では正反対の結果を生みだしている(漁田・漁田, 2005a)。 (2) BGM文脈については, 本研究代表者と分担者が共同で実験し, 文脈手がかりの有無と学習時間効果が交互作用しないという結果を得ている。これは, 本研究申請時には,学会発表の段階であり(漁田・漁田,2005b), 論文化していなかったが,論文化し, 楽曲の熟知価も調べる。 (3) 背景色文脈は, 他の環境的文脈とは異なる性質を持つと予測される。背景色文脈は, 記銘リスト全体が1種類の背紫色で提示されるとき, 文脈依存効果が生じないのに対して(漁田・漁田,2002), その他の文脈は,文脈依存効果が生じるのである。 (4) 匂い文脈に関しては, 再生成績が文脈に依存することは見いだされているが, エピソード記憶現象との交互作用や, 反復効果との関係はまったく研究されていない。匂いは, 古くから記憶手がかり効果が注目されている。匂い単独でエピソード定義文脈としての機能を発揮できる可能性が期待できる。
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