2008 Fiscal Year Annual Research Report
家庭の音楽環境が乳児をどう育てるのか : 縦断的研究
Project/Area Number |
18530581
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
安達 真由美 Hokkaido University, 大学院・文学研究科, 准教授 (30301823)
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Keywords | 音楽環境 / 胎教 / 乳児発達 / 運動発達 / 音楽への反応 / 育児ストレス |
Research Abstract |
本年度は課題最終年度であるため、次の成果を論文・学会発表等にて報告した。 1. 母親の胎教に対するイメージの同定、音楽的胎教行為と出産及び乳児の発達との関連性(Akasaka, Adachi, & Chino, 2008) (1)母親全員が「胎教」という言葉を聞いたことがあり、その8割が「お腹の中の赤ちゃんとの相互行為(話しかける、歌いかける)」だと考えていた。 (2)母親の8割が妊娠中に何らかの音楽的行為を行っていたが、「胎教」と意識していたのは少数派であった。 (3)妊娠中の音楽的行為は安産傾向には関係無かったが、胎児期に母親が音楽的行為をした乳児の方が出産時体重が軽く、音楽が聞こえると泣き止む傾向を示す時期等が早かった。 2. 乳児を取り巻く家庭の音楽環境の同定と、それが乳児の身体・運動発達や母親の育児意識に与える影響(Kida & Adachi, 2008 ; Matsuda & Adachi, 2008等) (1)3〜4ヶ月児を取り巻く家庭の音楽環境は「母親の音楽聴取への親しみ」と「母親の音楽的表現における意識の対象」の二つの因子からなることが分かった。 (2)母親の音楽的行為が乳児に向いている方が、母親自身に向いている場合よりも、出生体重が軽く、カウプ指数も低かったが、一ヶ月検診時では差が無かった。また、7ヶ月までの主要運動機能の発達が遅いことが分かった。 (3)母親自身が積極的に音楽に関わっている場合の方が消極的にしか関わっていない場合よりも、育児ストレスが低いが、子どもとの一体感等、伝統的な母性観につながるような意識には差がないことが分かった 3. 乳児の音楽に対する反応の発達(Adachi, Akasaka, Kida, & Kon-no, 2008) 3-4ヶ月児の自由遊びでは、仰向けの場合には音楽が身体の動きを減少させ、うつぶせ・腕立て体勢の場合には、音楽の効果は見られないことが分かった。
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Research Products
(7 results)