2007 Fiscal Year Annual Research Report
文書館資料を用いたソビエト教育形成史(1931-1936)の実証研究
Project/Area Number |
18530582
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
所 伸一 Hokkaido University, 大学院・教育学研究院, 教授 (50133682)
|
Keywords | ロシア / ソビエト / 教育史 / 文書館 / 教育課程 / ポリテフニズム |
Research Abstract |
本研究の目的は、教育人民委員部系の文書館所蔵の未公刊文書を中心とした資料開拓を行うことにより、1930年代ロシアにおける「体系的」な教育課程・評価制度の初期構築過程を解明し、これによりソビエト的・スターリン的な学校制度・教育学の形成史を実証的にとらえて、これを後発国近代化の模索経験として再評価することである。 計画第二年度は教育人民委員部の諸会議記録を保管するロシア連邦国立アルヒーフ(GARF)において本研究目的の資料調査すること、現地研究協力者から知識・情報を得ることであった。2007年11月前半モスクワ現地にて調査した。年間日程の都合により、本調査の前に、この計画の中間成果を、教育史学会第51回大会(於・四国学院大学)において「1931年党決定後ソ連におけるポリテフニズムの推移と意味にっいて」と題して発表した。 ここでは、「労働」科目にかかわる制度に注目しつつ、1932年8月のソ連共産党決定で指示されて後、まず高等教育に個人別評点制が導入されていき、これに遅れつつ、中等・初等教育にも評価制度・進級試験制度が導入された経緯を公刊資料から実証的に跡づけた。 モスクワの調査では以上をふまえて1933-34年の教育課程改訂にかかわる未公刊資料を追求した。しかし調査時間(及び主として現地の宿泊費急騰に関わる予算的制約)の関係で僅少の入手にとどまった。現地協力者との研究討議では、ソビエト教育史におけるポリテフニズム教育研究所(1931-1937年)の存在意義に関わり現地特有の周辺理解をふくむ総合的な知見等が得られた。 現在これらは分析途上にある。最終年度の成果につながることが期待できる。
|