2007 Fiscal Year Annual Research Report
子ども関連法制の新自由主義的再編に対する子どもの権利に基づく評価の比較法的研究
Project/Area Number |
18530594
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
世取山 洋介 Niigata University, 人文社会・教育科学系, 准教授 (90262419)
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Keywords | 新自由主義 / 新制度派経済学 / 一人の子どもも落ちこぼさない法 / 政府間関係 / 競争的連邦主義 |
Research Abstract |
新自由主義という政治原理のもとに展開されている子ども関連法制の変容を子どもの権利という視点から検討することを目的とする本研究の第2年度にあっては、教育法制に焦点が当てられ、新自由主義教育改革が先行するアメリカにおける教育法制の変容を全体像の解明に力が注がれることとなった。本年度の研究成果は次のようにまとめられる。(1)アメリカにおける新自由主義教育改革を期すづける理論として、新制度派経済学に基づく国家の役割に関する規範論に焦点を当て、それが、学校の置かれている環境と学校の組織を革すれば、成果を当てるという、"外から内への"改革でることにその特徴があることを明らかにしたこと。(2)、2001年に成立した一人の子どもも落ちこぼさないほうが、そのロジックを忠実に法制化し、連邦・州政府の政府間関係を規制主義的なもの(規制的連邦主義)へと変更するものであることを明らかにしたこと。(3)そのような改革の背後には、グローバル経済のもとにおいて、多国籍資本の誘致をめぐる州政府間の競争を組織し、教育を誘致の決め手としようとする政策(競争的連邦主義)が控えていることを明らかにしたこと。(4)新自由主義に対する対抗軸がアメリカにおいては、優れた教育を生み出す教育的関係の在り方とそれを支える普遍的な物的条件の確立という形をとり、アメリカ型福祉国家において十分に展開してこなかった、学校における共同とナショナル・ミニマムの確立を内容としていることを明らかにしたことである。
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