2008 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツにおける大学改革支援団体による高等教育政策の推進メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
18530600
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金子 勉 Kyoto University, 教育学研究科, 准教授 (40263743)
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Keywords | 大学 / 高等教育 / ドイツ / CHE / HIS / 欧州高等教育圏 |
Research Abstract |
ドイツの高等教育改革は、近年、連邦政府の主導性が減退している。連邦制度の変革をすすめる憲法改正に伴って、連邦による高等教育制度の一般原則に関する大綱的立法権は、廃止された。一方、EUレベルでの欧州高等教育圏の実現に向けた諸施策が遂行される状況にある。個々の大学と、その設置者たる州政府は、欧州圏における競争的な環境へ対応する方策として、高等教育政策の支援を目的として設置されている諸機関を、政策の立案にあたり利用することになった。特に高等教育開発センター(CHE)は、ドイツ学長会議とベルテルスマン財団の設立する大学改革支援団体として、注目に値する。しかし、CHEの事業に関する訪問調査の結果、ドイツ学長会議はCHEの設立時に関与したものの、事業の経営には直接な影響力がないことがない。CHEの設立に関与した一方の当事者であるベルテルスマン財団との関係は、事業の性質が財団の趣意に沿ったものとなっているという意味において相応の関係があり、両者がギュータースローという小都市に立地することは、財団との関係を無視し得ないことの反映である。とはいえ、CHEがフラットな組織であるために、個々のプロジェクトの立ち上げは、実質的に調査研究担当者の判断に任されている。大学または州政府が調査研究を委託するに当たり、円滑な業務の遂行が見込まれる実務担当者を選定するのであって、依頼する側の主体性が揺らぐことないところに、安定した関係の維持する理由があることが判明した。
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Research Products
(2 results)