2009 Fiscal Year Annual Research Report
教員養成カリキュラムにおける「いのち」の教育-教育内容の構造化と教授法の検討-
Project/Area Number |
18530604
|
Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
鈴木 真由子 Osaka Kyoiku University, 教育学部, 准教授 (60241197)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 正子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (50379319)
|
Keywords | 教員養成 / 大学 / 教師教育 / カリキュラム / 「いのち」の教育 |
Research Abstract |
本年度は、アンケート調査及び授業実践を中心に研究を進めた。 アンケート調査は、「性教育=生(せい)教育」を「いのち」の教育の一環と位置づけ、その視点で教育を行う際に必要と考えられる教員養成カリキュラムについて、大阪府下の現職教員を対象に郵送法で実施した。その結果、教員養成課程において広く「人間の性(=生)」を学ぶカリキュラムの検討が求められた。 学部生を対象にした授業は、「食といのち」について実施した。DVDの視聴、内容に対する議論をふまえ、実践者をゲストに招いて「食といのち」について考えた。また、元中学校教諭をゲストに招き、「いのち」をテーマにした授業を実践的・体験的に学んだ。授業後は、実践者と受講生が交流する機会を設け、授業にこめた実践者の思いを共有するとともに、「いのち」の授業を実践するうえでの課題について議論した。さらに、一人称の死をテーマにした模擬授業では、グループワークを中心に自己開示の重要性を確認した。 大学院生を対象にした授業は、「子どもの命」と直接的に関与する児童虐待問題について、「身体的な死」「こころの死」という側面から捉えた授業を行った。その際、児童福祉施設の施設長や元児童相談所で虐待対応を行ってきた研究者、特別支援学校で虐待を受けた子どもへの教育実践を行っているゲスト講師を招き、逆境的な環境で育ってきた子どもの「生きること」や「いのち」についての想い、ケア後の回復過程に焦点をあてた学びを行った。特別支援学校での教育実践からは、子どもが自分の存在を肯定的に捉えることができたのちに情緒や行動が落ち着き、諸活動に意欲的に取り組む様子が語られた。またその際には、教師個々人の「いのち」や「生きる意味」についての考えが問われることもテーマとなり、教師になる前に「いのち」に関与する多様なテーマについて考える教育の重要性が確認された。
|
Research Products
(4 results)