2006 Fiscal Year Annual Research Report
社会教育・啓発分野における人権教育のプログラム化に関する研究
Project/Area Number |
18530606
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
生田 周二 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (00212746)
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Keywords | 人権教育 / エンパワメント / ヨーロッパ / ドイツ / 地域 |
Research Abstract |
本年度は、(1)ドイツならびに欧州評議会における人権教育の動向の検討、(2)日本の地域における人権教育の実施プログラムの検討を主要に行った。 (1)ドイツのニュルンベルク市における、ギムナジウムと職業学校、ならびに地域のNPO、市人権局の活動を調査するとともに、ニュルンベルク市が事務局となっている反人種主義欧州都市連合などの動向、欧州評議会の人権施策を分析した。 その結果、ドイツならびに欧州評議会における人権教育の展開について、次の特徴が明らかになった。 第一に、人権に関する教育・学習が、差別や偏見への対応ではなく、学校や地域を生活や人格形成の場と位置づけた場合どんなことをしなければいけないのかという発想からアプローチされている。このアプローチは、学校づくり、生徒間関係、教員・生徒関係のあり方の検討の中で出てきている点が特徴的である。 第二に、それと関連して2000年前後から人権欧州都市会議(1998年結成)、反人種主義欧州都市連合(2004年結成)などをはじめとして人権施策や人権教育の取り組みへの動きが急である。 第三に、その中でドイツのニュルンベルク市の人権局の果たしている役割が大きい。 第四に、「格差社会」という言葉で日本において表現される社会的統合や排除に関わる議論との関連が強い。とりわけ青年問題に関わっては、学校だけではなく、学校外の社会教育的活動施設・分野における専門職員の役割が大きい。 (2)日本においては、滋賀県日野町の人権啓発推進連絡協議会の取り組み、堺市における市民人権局の役割と反人種主義・差別撤廃アジア・太平洋地域都市連合との関わりにっいて調査した。前者は、地域の自治会組織とリンクしながら地域活動を、人権の視点から検討しようとする取り組みである。後者は、ニュルンベルク市とも関わるが、都市における人権の位置づけについて、自治体レベルで検証し合う取り組みであり、今後の展開が注視される。
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