2006 Fiscal Year Annual Research Report
地方分権制度の新展開と高校職業教育の条件整備行政の転換に関する調査研究
Project/Area Number |
18530607
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
佐藤 史人 和歌山大学, 教育学部, 教授 (80324375)
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Keywords | 職業教育 / 教育行財政 / 地方分権 / 産業教育 / 条件整備 |
Research Abstract |
高校職業教育行財政制度の法的根拠となる産業教育振興法の改正に伴い、高校職業学科の教育条件整備の物的側面のうち、まずは設備が、次いで施設の国庫補助が廃止された。この制度改革に伴い、高校職業学科の教育費は地方公共団体への交付税でまかなわれることになった。このことは一方で地方分権の実現・推進を意味し、他方で都道府県等によって教育条件整備の実態に格差を生じさせることになる。そこで本年度は、制度改革に伴う教育現場の実態面を客観的に把握することをねらいとして、以下の作業課題を設定した。調査の結果は、産業教育研究会を2回開催し、職業教育研究者・高校職業学科の教員などの参加・協力を得て、検討・協議した。 (1)産業教育振興法改正に伴う物的条件整備の変化 これまでの高校職業学科における施設・設備に要する費用の国庫補助は、同法改正によって廃止となった。従って、設置者負担の原則に基づいて、施設・設備の整備基準は都道府県ごとに設定されることとなったが、実態として基準は未整備がほとんどである。また、調査研究の基礎となる都道府県の産業教育に関する基本資料・文献の収集とそのデータベース化をおこなった。 (2)地方公共団体における施設・設備の基準の実態(東京都の事例) 東京都における新制度への対応は通達等の調査によって一定程度明らかになった。今後は都教育委員会が策定している基準設定の根拠や教育実践に及ぼす影響など、基準の評価について調査・分析する必要がある。 (3)技術・職業教育における教育条件整備問題の教育学的構造の解明 教育条件整備は教育財政学研究として重要な課題であるが、これまでの教育学研究では十分取り上げられてこなかった。とりわけ教育条件の整備状況が教育内容や方法に影響を与える技術・職業教育においては、物的・人的側面から研究する必要があり、構造化に着手している。
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