2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530612
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
藤原 瑞穂 Kobe Gakuin University, 総合リハビリテーション学部, 准教授 (90269853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 薫夫 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (60173613)
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Keywords | 高齢者 / 学習 / 障害 |
Research Abstract |
障害をもつ高齢者の「学習」支援は,地域がその仕組みを用意していくと同時に,きわめて個別的な対応が求められているという課題が指摘されてきた.そこで本研究は,障害をもつ高齢者の「学習」支援について具体的な実践を記述し,今後の研究・実践課題について考察していくことを目的としている.対象者,高齢者放送大学より紹介していただいた70〜80歳代の障害をもつ高齢者5名(男性1名,女性4名)介護老人保健施設に入所している高齢者1名ならびに自宅で訪問リハビリテーションを利用しながら生活をおくっている高齢者1名,ターミナル期にある高齢者1名である.対象者ならびに支援者へのインタビューならびにフィールドワークによって介入支援の実際を調査した.作業歴,発症・受症時の状況と現在までの生活歴,放送大学や自宅等での学習状況とその意味,困難さとその介入支援について記述した. 高齢者は,障害によってそれまで従事してきた活動やそれに伴う社会的なつながりが途絶えてしまうことがある.また,周りに迷惑をかけたくないという理由で新たな挑戦を回避することも少なくない.その一方で,さまざまな学習ニーズや自身の介護が必要な状況でありながら他者への貢献的ニーズを持っていることなどが指摘されてきた.今回の研究から,以下の点を報告したい.(1)放送大学での活動は,人びとの交流を促す仕組みならびに"役割"が多く用意されていた."役割"には"作業"が伴うが,それらはにはほどよい挑戦感があった.(2)高齢者は,放送大学の学習内容を人生の課題に組み込む作業を行っていた.(3)施設ならびに在宅で生活を送る高齢者は,「学習」集団に所属している自覚はない.しかし,日々障害のある自身と向き合い,それに折り合いをつけながら生活を再構築していくプロセスのなかに学習の要素が多く盛り込まれていた.これを作業療法士などが引き出し支援していた.
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