2008 Fiscal Year Annual Research Report
ロシア連邦における教育水準の向上を図る学校評価と教育課程評価に関する研究
Project/Area Number |
18530623
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高瀬 淳 Okayama University, 大学院・教育学研究科, 准教授 (00274035)
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Keywords | ロシア連邦 / 教育課程 / 学校評価 / 学校運営組織 |
Research Abstract |
ロシア連邦における教育課程行政制度は、(1)教育内容・方法の決定にかかる権限が、連邦、連邦構成主体及び学校の三者に分配されていること、(2)学校に配分された教育内容・方法の決定にかかる権限について、それを行使する具体的な主体が、個々の学校の管理運営体制によって変化すること、(3)ロシア連邦における教育課程行政が、国家(連邦並びに連邦構成主体)と学校の直接的な関係を基本としていることといった3つの特色を挙げることができる。ただし、連邦や連邦構成主体といった国家レベルで、国家普通教育スタンダードの制定や民族的・地域的な教育内容の決定等に際し、国民の意思を反映する仕組みが必ずしも形づくられていないといえる。教育課程の編成主体である学校の意思の決定・執行にあたっても、保護者・地域住民が参画する管理運営体制が法的に保障されているわけではない。したがって、今日のロシア連邦における教育課程行政制度は、「社会主義的自主管理」の原則の転換に伴い、どのように教育内容・方法の決定過程に国民の意思を直接反映する「民主主義的」な機会を確保するかといった課題を内包している。 ロシア連邦における公的な学校評価は、設置認可手続きの一環として、国家(連邦又は連邦構成主体)により、少なくとも5年に一度、国家認定を受けることが義務付けられている。その中で連邦や連邦構成主体は、学校からの申請に基づき、教育水準(最終学年の児童生徒の成績)について、国家が決定した教育内容・方法の部分を審査・評価し、不十分な点があれば、その改善を学校に対して勧告する。しかし、実際には卒業試験で課されることになっているロシア語、文章読解、数学の客観的な結果に基づく評価に限定され、教育課程全体の評価は学校ごとに委ねられているといえる。
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Research Products
(2 results)