2008 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカにおける女性大学教員のキャリア形成に関する歴史的研究
Project/Area Number |
18530630
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
坂本 辰朗 Soka University, 教育学部, 教授 (60153912)
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Keywords | 大学史 / アメリカ合衆国 / ジェンダー / 教授職 / アメリカ女性大学人協会 / 戦間期 / 比較・国際教育学 |
Research Abstract |
(1)女性大学教員のキャリア形成を組織的に支援するために、1920年代のアメリカ女性大学人協会(AAUW)は、その会員校の加盟申請にあたって、個別大学における女性の学生さらに女性大学教員への配慮の有無、ファカルティにおけるジェンダーの平等という問題を加盟審査の基準として加えた。1920年代は、アクレディテーションの制度が今日にあるような形式に整えられていく時代であり、かつ、そのアクレディテーションを通じた高等教育ヒエラルキーが形成されていく時代であったが、 AAUWもまた、このアクレディテーションの一翼を担うことで、女性大学人の雇用と昇進へ影響力を行使しようとしたのである。本研究では、(1)AAUWによるアクレディテーションは、加盟大学の審査の過程で、ジェンダーに関するどのような問題を顕在化させたのか、(2)AAUWによるアクレディテーションは、前述のアクレディテーション制度の形成過程とアクレディテーションを通じた高等教育ヒエラルキーの形成の中でどのように評価されたのか、という二点について、いくつかの大学の加盟申請過程をケーススタディとして分析した。その結果、この時代に形成されつつあった高等教育のヒエラルキーがもたらす力関係が、AAUWの加盟申請の過程に大きく影響していることが明らかになった。すなわち、一方で、 AAUWの「助言」「勧告」に従って、加盟申請にあたってファカルティの中に女性を加えていった大学(たとえば、南カリフォルニア大学)がある反面、これをかたくなに拒否しえた大学(たとえば、バンダービルト大学)が存在した。 (2)前年度に引き続き、個別大学におけるアメリカ合衆国女性高等教育「第一世代」の女性教員と「第二世代」の女性教員のメンター=メンティー関係の事例を集積していく作業を、コロンビア大学、カレッジ・オブ・ウィリアム・アンド・メアリの人脈を中心におこなった。
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