2008 Fiscal Year Annual Research Report
大学の社会貢献事業の拡大過程とその効果に関する実証的研究
Project/Area Number |
18530649
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
藤村 正司 Niigata University, 人文社会・教育科学系, 教授 (40181391)
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Keywords | 地域連携 / 管理運営 / 第3の機能 |
Research Abstract |
平成20年度は、研究計画に従って研究を実施した。 (1)理論研究では、大学の社会貢献事業と産学連携の持続可能性を検討するために、産学連携、アカデミック・プロフェッション論の文献を収集し、大学と社会の関係を説明する組織管理論の検討を行った。その結果、諸官庁が大学や自治体に提供する補助金を外部資金として重視することで、どこの大学も内部と外部を繋ぐ様々な連関組織が形成されていくプロセスと同時に、大学と社会の間をどのようにリンクさせるのか理論構築の検討を行った。 (2)実証研究として、第一に地方国立大学の社会貢献として、実地取材を大学側と地域(自治体)で実施した。その結果、地域貢献の持続可能性が焦点になること、とくに省庁からの短期的補助のあり方が大学と地域の関係を規定していること、地域連携に当たるスタッフの規模がなお脆弱であること、そのために地域貢献の組織化にあたって、学内資源の制約を自覚すること、産学連携をサポートするインフォーマルな組織や大学間のコンソーシアムの役割が極めて重要であることを明らかにした。第二は、86国立大学を事例に、地元学生占有率、公開講座数、特許数、地域(自治体・県内企業)からの委任経理金、寄付金データなどを収集し、単に科研費配分額や運営費交付金額だけでは見えない、地方国立大学の第3の役割として地域貢献機能を評価することが政策的に重用であることを指摘した。第三は、2007年に実施した大学教員の地域サービス調査と1998年に実施したアンケート調査の比較分析を行った。その結果、10年間に一般教員レベルでは、第三の機能の重要性の自覚は高まっているが、それは大学の地域貢献事業への組織的な関与が高まっていること、他方で社会サービスが教員の多忙感にも少なからぬ影響を与えていることを明らかにした。総じて、大学の限られた資源のなかで第三の機能に対する組織的誘因をどのように高めるかが、地域連携の持続可能性の鍵になることを指摘した。
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Research Products
(2 results)