2009 Fiscal Year Annual Research Report
大学の社会貢献事業の拡大過程とその効果に関する実証的研究
Project/Area Number |
18530649
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
藤村 正司 Niigata University, 人文社会・教育科学系, 教授 (40181391)
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Keywords | 高等教育 / 社会貢献 / 社会学的新制度主義 |
Research Abstract |
最終年度となる平成21年度は、「大学の目的」「研究実施計画」に照らし、二つの研究を行った。一つは、複数の国立大学に対するヒアリングに基づいて大学の社会貢献事業の理論的解釈を社会学的制度化論がら行った。とくに、法人化後の国立大学で大学と地域社会の関連を橋渡しする<境界組織>が全学的機構のもとで一気に制度化されたことは、強制的同型化説から解釈できる。 しかし、社会貢献事業が組織化し、一定の成果を収めているが、運営費交付金の低減の影響で、外部資金との財政的処置が不安定であること組織を維持するためのスタッフ、一般教員の負担の問題、貢献事業費などの財政的基盤を弱いことも明らかになった。国立大学の第3の機能である、社会貢献事業を将来にわたって持続可能性なものとするには、長期的視点立った地域貢献のビジョンの形成、地域連携のマネージメントや財政補助のあり方を指摘した。 今一つの研究成果は、国立大学に期待される教育機会均等機能と小中学校教員供給機能についての実証分析である。地方に立地する国立大学がユニバーサル段階においてもなお、大学進学において低所得・高学力層の高等教育機会を保証していること、にもかかわらず、地域社会への重要な人材供給である小中教員については、市場化のなかで教育学部の教員供給能が少子化のみなちず、市場化にさらされていることを明らかにした。最後に、大学の社会貢献が規範になった現在、地方に立地する大学が存立する上で、社会貢献事業は不可欠であるが、財政的な裏付けと実証的データに基づいた大学経営のあり方を提言した。
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Research Products
(4 results)