2006 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト・フォーディズム時代における教育機会とライフコースの変動に関する比較研究
Project/Area Number |
18530656
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩井 八郎 京都大学, 教育学研究科, 教授 (80184852)
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Keywords | ライフコース / 教育機会 / ポスト・フォーディズム / 国際比較 |
Research Abstract |
1990年以降の教育とライフコースの変動について、欧米諸国の実証的なデータを踏まえた研究成果をレビューした。その成果は、論文「ライフコース研究の20年と計量社会学の課題」として『理論と方法』に掲載された。またOECDの経済・労働・教育統計を整理し、女性の就業率、高齢者の就業率、就学率、失業率などについて、2005年までのデータを作成し、近年の動向を「ポスト・フォーディズム時代の教育とライフコース」に報告した。この論文では、エスピン・アンデルセンの福祉レジームの類型を参考にして、各国の変化を説明し、日本の現状についての理解の枠組みを明確にした。また政策的には、ライフコース基金というアイデアによって、15歳以降の教育訓練費用(試案では500万円)を誰もが受け取ることができるような仕組みを導入すれば、どのような社会的効果があるのかを構想した。2005年社会階層と社会移動調査および2002年日本版General Social Suveyの分析を開始した。高齢者の経済的地位の変化と子ども世代との関係に関する分析をまず実施した。近年、子どもと同居する高齢者世帯が豊かな層と貧しい層に分化している点を見出し、子どもと同居する高齢者の中で、所得の低い層の女性において幸福感が低い点を明らかにした。この結果には、1990年代後半以降の高齢者世帯における所得水準の低下、ならびに子ども世代の就業機会の劣化が反映している点を指摘した。その成果は、論文「高齢者の社会的地位の変化と幸福感」に報告されている。2005年社会階層と社会移動調査の職業経歴データの整理を行っており、ドイツなどのデータ分析の成果との比較可能なデータセットを作成する作業を継続している。
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Research Products
(3 results)