2007 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト・フォーディズム時代における教育機会とライフコースの変動に関する比較研究
Project/Area Number |
18530656
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩井 八郎 Kyoto University, 教育学研究科, 教授 (80184852)
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Keywords | ライフコース / 教育機会 / ポスト・フォーディズム / 国際比較 / 失われた10年 |
Research Abstract |
「失われた10年」と呼ばれた、1990年代初めからの10年間は、戦後の日本社会において一般的であった人生モデルの自明性が崩れてきた時期であった。この時期、高等教育機会が飛躍的に拡大したが、バブル経済崩壊後の就職氷河期に人口規模の大きい第2次ベビーブーム世代が成人生活を開始した。また非正規雇用が増加し、晩婚化・少子化が進んだ。高齢者層においても、年金制度の綻びが目立ち、少子高齢化の急速な進行とともに世代間の扶養関係を支えてきた旧来の家族関係にも変化が生じている。今年度は、「失われた10年」において日本型の福祉レジームにどのような変化が生じたのかをライフコース研究の視点から検討を行った。とくに2005年「社会階層と社会移動」全国調査データを用いた分析を行ったが、高齢者と女性に関する研究において一定の成果が得られた。60歳代の高年齢層の経済的地位と家族関係については、次の点が明らかになっている。1995年から2005年までに、不就業層は年金制度によって比較的安定していたが、就業層の所得が著しく低下した。また、子どもと同居している高年齢層で世帯所得の低い層が顕在化してきた。子どもとの同居は、高年齢層にとって生活満足度を高めてもいない。女性の分析結果としては、第2次ベビーブーム世代の30歳までのライフコースに変化が生じている点が明らかになった。高校卒と大学卒で、非正規雇用の比率が上昇し、従業先移動が高まっており、大学卒の就業継続傾向も高まっている。女性のライフコースの分節化・複雑化は著しい。日本的な「家族主義的レジーム」を支えた、女性の就業パターンも崩れている。さらに比較研究によって「失われた10年」の特徴を明らかにすることが今後の研究課題である。
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Research Products
(4 results)