2007 Fiscal Year Annual Research Report
システムの機能化と教職の行方-対人専門職の可能性-
Project/Area Number |
18530658
|
Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
油布 佐和子 Fukuoka University of Education, 教育学部, 教授 (80183987)
|
Keywords | システムの機能化 / 教育改革 / 対人専門職 / 教師役割 |
Research Abstract |
システムの機能化は、(1)学校及び教師の役割の限定(=「学校スリム化論」)と、(2)権限と責任の明確化(カウンセラーなど他の専門家の学校への配置、栄養教諭・学校司書教諭の発令、副校長・主幹の導入等)という二側面から考えることができる。システムの機能化を、教師がどう受け止め、教育の専門家としての新たな教職役割をどのように構築していくかということを明らかにすることが本研究の第一の、また、近年の教員政策が教師にどのように影響を及ぼしているのかを明らかにすることが第二の目的である。 そのために、各県レベルでの具体的な改革動向を踏まえ、平成19年度に『教職生活と教員政策に関する意識調査』を全国的なレベルで実施した。その結果は現在分析中であるが、現在のところ次のようなことが明らかになっている。 第一の課題に関しては、(1)学校スリム化論に賛成する教員は半数に満たず、(2)ほとんどの教師が、学校教育の多様な領域について人々の援助を期待していること、(3)専門職大学院を除いては、教員免許更新制、校長・教頭への民間人の登用、教員の公募制、専門職大学院などの教員改革を推進すべきだという意見が極めて低い。すなわちわが国の教師は、肥大する学校機能の役割はそのままにして、担当する職員・支援者を増加することで教育を遂行すべきで、教師はその中核として位置付けられるべきであると考えていることが明らかになった。第二の課題については、教職生活が充実している教師ほど教員評価や優秀教員の表彰についても有益であると考えていることが示された。ただし、こうした改革が従来の教員文化を変容させているかどうかという点については明確な関連がでていない。分析途中であるため、確定的なことはいえないが、「多様な教育要求に応えるために、教職員集団の中心となりうる力のある教師」を造ることが、現在の教師が描いている教職の今後の姿なのではないかといえる。
|