2006 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアの初等教育段階における英語教育の受容と母語教育への影響
Project/Area Number |
18530659
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
池田 充裕 山梨県立大学, 人間福祉学部, 助教授 (40342026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 誠 立教大学, 文学部, 助教授 (60308088)
手嶋 將博 文教大学, 教育学部, 講師 (90364736)
鈴木 康郎 筑波大学, 人間総合科学研究科, 助手 (10344847)
奥村 真司 湘南短期大学, ヒューマンコミュニケーション学科, 講師 (40341961)
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Keywords | 教育学 / 東南アジア / 初等教育 / 英語教育 / 言語教育 |
Research Abstract |
今年度現地調査を行った3ヵ国について、得られた知見・情報を下記報告する。 (1)タイ…タイ教育省基礎教育委員会事務局、チュラーロンコーン大学教育学部を訪問し、小学校英語に関する施策や研究に関する資料を収集した。また4校の国立・私立小学校を訪問し、小学校英語の実施状況に関する聞き取り調査、授業実践の観察・記録等を実施した。 タイでは、「1996年英語教育カリキュラム」から英語が小学校で教科として導入され、「2001年基礎教育カリキュラム」(2005年度完全実施)で英語は小学校第1学年から必修となった。私立学校では「1996年英語教育カリキュラム」以前から独自に英語教育に力が入れられ、1998年からはイングリッシュ・プログラム(EP)が展開されている。EPでは、英語、算数などの一部の教科で英語を教授用語として授業を行っている。目下の課題は、外国人講師の確保およびタイ人教員の指導力向上である。 (2)マレーシア…マレーシア教育省、ジョホール州教育局、教科書・教材センター、マレーシア工科大学などで英語・母語教育に関する情報収集を行った。また公立小学校4校を訪問し、実際に英語を教授用語に用いた算数・理科などの授業の様子を観察し、ビデオ・写真等に記録した。 マレーシアでは、マレー系・華人系・インド系で小学校が分立し、自身の民族母語を用いて授業が行われるとともに、国語であるマレー語も並行して教えられてきた。しかし2003年から算数・理科を英語で教える授業が全国の小学校に導入されたことで、児童は三言語の修得に迫られ、今後は言語科目や理数科目で学力格差が広がることが懸念されている。また英語能力の有無によって教員間の待遇にも差が出始めており、教員養成・研修体制の整備・充実が急務となっている。 (3)シンガポール…国立教育学院、地域言語センターなどで、英語科教員養成の概要把握やクラスの見学などを行った。また5校の小学校を訪問して、カリキュラムや教授法の実際を観察・記録した。 シンガポールでは、小学校から英語と民族母語を用いた二言語教育が長らく実施されてきたが、今日は生徒がより活動的に英語教育に取り組むために、SEED-EL(英語学習における生徒のより効果的な学び方研究)プログラムを実験校において開発中で、2008年から全国の小学校に導入する予定である。実験校では大型図書を用いた読み聞かせ相互学習、劇化プログラムなどの先進的な試みがなされている。
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Research Products
(1 results)