2007 Fiscal Year Annual Research Report
働く人間への共感的理解による職業観、勤労観の育成をめざす社会科学習の基礎研究
Project/Area Number |
18530687
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
大澤 克美 Tokyo Gakugei University, 教育学部, 准教授 (20323735)
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Keywords | 教育学 / 社会科教育 / 職業観 / 勤労観 / 共感的理解 |
Research Abstract |
研究計画に従い、製造業を中心に優れた産業技術で特色ある経営・生産活動を行っている企業の情報を収集して調査対象リストを作成し、それに基づく調査依頼を行った。その結果、サッカーの国際試合で使われる審判用ホイッスルの製造で有名な東京都の野田鶴声社、障害を持つ人や高齢者に配慮したユニバーサルデザインで知られる新潟県燕市の株式会社コラボ、新しい技術で日本の織物業界をサポートしている株式会社木地リードの北海道岩内工場などで実地調査を行うことができた。各調査の観察及び聞き取りで明らかになった内容は、教材化に向けて各調査対象の特色がわかる小項目を立てて、調査報告書としてまとめている。また、先年度からの研究内容を踏まえて、日本社会科教育学会の会誌に論文を投稿した。 本年度は、上記の調査対象の中から、株式会社コラボとその社長である秋元幸平氏を取り上げ、附属小金井中学校において2年生の選択社会科、3年生の公民的分野の研究授業を実施した。研究授業では、本研究の目的で示した仮説に基づいて、燕市から秋元氏を招き、生徒にコラボの製品を触れさせながら、製品開発の過程や苦労、職業人としての生き方や働きがいを具体的に語ってもらった。 授業後に集めた生徒の感想からは、コラボという企業やその製品がもつ社会的な意義をはじめとして、社会における職業の意義や働くことの意味が、秋元氏の姿を通して共感的に理解されていることがわかる。この研究授業では、意欲的に仕事に取り組む具体的な人物と意図的な出会いを創出することによって、働く人間への共感的な理解を実現し、生きることと職業との結びつきについても、考えさせることが可能であることを検証した。
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