2008 Fiscal Year Annual Research Report
思考力を育てる歴史学習教材の構成原理ー構築主義による教材開発ー
Project/Area Number |
18530694
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
土屋 武志 Aichi University of Education, 教育学部, 教授 (20273302)
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Keywords | 歴史学習 / 社会科教育 / 思考力 |
Research Abstract |
歴史学習において、最も基礎的な歴史学習は、歴史が「絶対的な真実」ではなく、人が「選んだ」情報から組み立てられた「解釈」であるとわかることである。つまり、(1)歴史には「異なる証人の目」や「異なる国、異なる解釈から見えた出来事」が含まれること、(2)歴史家は真実をいくら調査しても絶対的な真実を提供できないことを学習させる。この構築型学習観は、現在のPISA型市民学力の基本要素である点が明確となった。「歴史」の本質的作業である「解釈」は、次のプロセスで行なわれる。 1)いくつか複数の問題をさがす 2)問題に関する疑問を出し合いいろいろな事実を見つける 3)自分たちが扱える問題に1つ絞る 4)問題解決のためのアイデアをいくつかだしあう 5)解決方法を決定する 6)決定した解決方法の実行計画を1つか2つ作る このプロセスの特徴は、次の2点である。 (1)複数の情報や解決方法を絞り込む活動。 (2)活動は、ペアやグループあるいはクラス全体で疑問や意見を出し合い討論する活動。そのため、リストアップされた複数の情報を「比較」し、評価して「選択」する活動が基本的に行われる。 このプロセスのようにいくつかの情報や解釈について複数の他者の協働によって問題をたてて解決法(問題の答え)を協働して絞り込んでいく活動が思考の基本的活動と考えられる。そしてそれは、民主的な市民性を育てる学習過程に他ならない。学習者自身に「歴史」を解釈させるプロセスが、教材開発の基本となる。
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